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しあわせ者。

こんにちは、お久しぶりの泉野ジュールでございます! みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

やっと少しばかり温かくなってきたと思ったら、もう花粉の季節が目の前に。泉野は花粉症とは無縁なうえに、あまり花粉症そのものがない地域に住んでいるのですが、数年前「いままでずっとなにもなかったのに、今年から急にはじまった!」という友人がいて、明日は我が身かも……と毎年ビクビク構えております。

そんなわけで、本日のブログ内容はタイトル通りなのですが……泉野ジュールはしあわせ者です!

え。なぜ、って?

見てくださいよ、なぜか。百聞は一見にしかずでございます。ジャジャーン!

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クリスティン・アシュリーの日本語翻訳最新作「ふたりの愛をたしかめて」が、届いたのですよー!!

「アルファメールの女王が描く、ノン・ストップ・ホット・ロマンス!」

ひゃあ、「アルファメール」が説明なしのカタカナとして日本で通じる時代が来たのですね!(多分) さんざん「アルファ! アルファ!」と叫び続けてきた過去の自分を褒めてあげたい。わたしは時代の先端を行っていたんだ……。(多分)

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そして、こちら、前作二冊に続いて、分厚いレンガ本でございます。それでも分冊はせずに便利でお得な一冊仕様。嬉しいですね〜。

読むによし、カバンに忍ばせて痴漢撃退の凶器に使用するのもよしの、ボリューミーな厚みです。

読み終わりましたら、また(ハイテンションな)読書感想をアップしたいと思います!

 

泉野ジュール

Review: Hate Notes by Vi Keeland & Penelope Ward

“Sometimes you look at me, Reed, and I could swear you want to smack my ass.”
“‘Want’ isn’t strong enough of a word to describe what I want to do to your ass.”

すごーく久しぶりにロマンス洋書感想です。ヴィ・キーランドとペネロペ・ワードがタッグを組んだ『Hate Notes』を読みました!

ヴィとペネロペはすでに何冊も共著を出していて、どれもベストセラーだし、とても面白いのですが、この『Hate Notes』はとくに人気でレビューもよかったので、時間ができたら絶対読んでみたいと思っていたんですよ。

先日、アマゾンの商品券が手に入ったのでついポチってしまいました。

後悔はしてない。はい。面白かったです!!

ヒロインのシャーロット・ダーリンは数年来の恋人に浮気されて、結婚直前に破局。もう少しで着るところだった新品のウェディングドレスを、中古服屋に売りに行くところから話がはじまります。そこで、とっても美しい羽根つきのウェディングドレスを発見してしまい、思わず試着するのですが、内側にそっと縫い付けられた青いメモ……いわゆる「Something Blue」を見つけます。

そこに書かれたロマンチックな新郎からの手紙を読んだシャーロットは、一体これを書いたのは誰だろう、どうしてこんな素敵な手紙があるのに、このウェディングドレスは中古服屋に売り払われる運命になってしまったんだろうと興味を持ちます。

To Allison —-

“She said, ‘Forgive me for being a dreamer,’ and he took her by the hand and replied, ‘Forgive me for not being here sooner to dream with you.'” —-J. Iron Word

Thank you for making all of my dreams come true.
Your love,
Reed

シャーロットは思わずそのウェディングドレスをお買い上げ。自分のを売りに行ったのに新しいの買ってるという(笑)。ちょっと天然でどーしよーもない子なのですが、めちゃくちゃいい子です。

そのメモのレターヘッドについている「リード・イーストウッドのオフィスより」という一文を元に、家に帰ってさっそくググる現代っ子シャーロットちゃん。検索結果に出てきたのは、クリントという名前の犬を飼ってるおじさん(笑)と、見惚れるほど美形な不動産エージェントでした。

「絶対こっち!」と確信し、その「リード・イーストウッド」の不動産会社サイトを開くと、酒の勢いで超豪華アパートの見学アポイントメントを申請。なぜか通っちゃいます。

あれよあれよと本物の「リード・イーストウッド」と出会うことになるのですが……。

ウェディングドレスに縫い付けられたロマンチックな手紙を書いた人物とは思えないほど、嫌な奴だったリード氏。でもフェイスブックで見たよりもさらにカッコいい偉丈夫。しかも独身……ということは、手紙にある「アリソン」さんとは上手くいかなかったということ。

見学でのリードのあまりの嫌な奴ぶりに、建物のトイレで泣いていると、ある老女が話しかけてきて……。

まぁ、なんだかんだとありまして、結局シャーロットはリードのいる不動産会社で働くことになります。ここからはすごくテンポのいいオフィス・ロマンスです。ヴィ&ペネロペらしい、ユーモラスなバンター(会話)がすごく楽しい!

押して、引いて。引いて、押して。

シャーロットはすごく素直なので、リードの嫌な奴っぷりにもめげず、結構早い時点で恋心を認めてしまいます。うん、こういうヒロイン、好きです! 逆に頑固なのがリード氏。いつまで経ってもシャーロットへの想いを認めないまま、あれよあれよと後半へ突入。

「あれ、もしかしてこれって三部作の一作目だったりする?」

と、不安にさせられるような、頑固な引っ張りっぷり!

うん、こういうヒーロー……嫌いじゃないです。

と言っても、リードがシャーロットへの想いを認められないのは、頑固だからってだけじゃなくて、ちゃんとした理由があるのです。それが結構シビアで、後半70%くらいに入ると物語の雰囲気がガラッと変わってシリアスになります。

泣いた……。

まさか泣かされる種類のお話だと思ってなくて(前半は完全にラブコメだった)、ああぁ〜、まさかそんなーー!! の涙。

ちゃんとロマンス小説ですけど、一般文芸でもいける種類のご本じゃないかなと思います。大人シーンも少なめ。ほんと、最後に数回だけで。

でも、少ないからこそ気合い入れて書いたんだろうなーって感じさせる、すごくインテンスでセクシーな濡れ場でした。文字通り濡れ場……シャワーの中だよ! いひひ。

エピローグもよかった。

色々その先を想像するとまた泣いちゃうんだけど、逃げずに選んだ彼らの道を、祝福せずにはいられない……。そんな素敵な終わり方です。

Dear Charlotte: Do you know why squirrels love you so much? Because you’re NUTS.
Reed

(ナッツは隠語でお馬鹿という意味です)

あと、シャーロットの名字が「ダーリン」なんですよね。で、前半、リードがシャーロットのことを「ダーリン」って呼ぶんですけど、「それは大きいDの方のダーリン?(=名字) それとも小さなdのダーリン?」って何度もなるのが超可愛かった! ずーっと「名字に決まってるだろ」的なことを言っていたリードが、最終的に「今のは小さいdのダーリンだよ」って認めるのがね、いいの! いいのよぉぉぉすごくぅぅぅぅ!!!

おすすめ星5つです。

英語も比較的読みやすい種類のものだと思うので、ぜひ。ヒロインとヒーローの一人称ものです。

ついでに合わせてこちらもどうぞ♪

On My Rader – January 2019

こんにちは! ついに2019年もはじまり、気がつけば1月も後半に入っているという容赦なき現実。みなさま、おいかがお過ごしでしょうか。

泉野ジュールは元気です!

……と、言いたいところなのですが、なんと泉野家は年末から現在までにかけてひたすらインフルエンザとの戦いに負け続けておりました。

わたし、娘①(三歳)、娘②(5ヶ月)と続き、現在旦那がノックアウトされているところ。唯一、元気いっぱいで風邪ひとつひく気配がないのは息子だけ。そう、この息子っちは小学校でインフルの予防注射を済ませていたのですね〜。

忙しさにかまけて、「そのうち、そのうち」と予防接種に行かなかったツケがここに……。

みなさま、予防接種、大事です。

絶対行きましょうね〜〜(涙の叫び)!!

さて。

風邪っぴきだし、寒いしで、あまり外へ行けないので泉野ジュールはプチ冬眠することにしました。ここで、「プチ冬眠=冬期性仮性引き篭もり」のお供に泉野が狙っているご本のラインナップなど、ご紹介したいと思います。

ただ愛を叫びたいだけなの。がおー!

桜井さくや先生の『清廉騎士は乙女を奪う』! ちょっと奥さん、騎士と乙女なんて言われちゃったらドキドキしないわけないし、この美麗表紙を見てくださいよ! 芦原モカ先生なんですよ! ちょっと反則すぎる美しさ……。

それから今月はなんと夢中文庫さんから葉嶋ナノハ先生の『強引御曹司に注がれる溺愛の味 』と……

青井千寿先生の『白薔薇は枯れてもなお芳しく【SS付】 (夢中文庫プランセ)』が同時発売ですよ……! なに、俺の財布狙われてんの? こんな素敵な二冊買わないわけにいかないじゃないの……(ニヨニヨ)。

もちろん他にも色々気になるのですが、今日のところはここまでで。時間ができたら続きもやるかもです!

あっはー、ここは温かくていい沼なり!

 

泉野ジュール

今年もお世話になりました《2018年》

月日の経つのは早いもので、もう2018年も一日を残すのみ。こんにちは、泉野ジュールです。みなさま年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。

泉野の2018年のハイライトはなんといっても「第三子の妊娠発覚&怒涛の出血しまくり妊娠期間&赤子体重増えなくて入院&母乳育児スタート」というベイビー・サプライズのフルコースだったのですが、ありがたいことに3冊もの著書を上梓させていただくことができまして、とても濃い、充実した一年を過ごすことができました。

こうして文章にすると、よくやったな自分! と膝を叩きたくなりますね!

本当にどうやったんだ自分……。

覚えてないんですけど……。

まあ、いいか。

これもひとえに応援してくださった皆さま、出版に携わってくださった各方面の方々、そして私生活でわたしを支えてくれた家族のおかげです。ありがとうございました!

そんなわけで、せっかく今年も最後ですし、《2018年Recap》をいってみたいと思います。振り落とされんなよ?

2018年、まずはここからはじまりました。

2018年2月発売、ティアラ文庫さまより『気高き王宮騎士団長の秘めやかな執愛』です!

はぁぁぁぁ……今、見つめ直しても、この美しき芦原モカ先生の表紙にはうっとりです。担当さまからイラストレーターの名前を教えていただいたとき、「ええ! いいの!? 憧れの芦原モカ先生……とっても繊細なイメージなのに、わたしのなんかにいいんですか!? 剣闘士とか出てくるんですけど……」と口から変なものを噴きながら仰天したのを昨日のように覚えています。

本当に素敵な表紙と挿絵を描いてくださいまして、うっとり悦に入りながら何度も何度もいただいた表紙絵を眺めていました。

お話の方も、好きなものをたくさん詰め込ませていただきまして、すごくノリノリで書かせていただきました。

元恋人同士の再会。

男同士の友情。

一途で、たくましく、戦う寡黙系ヒーロー。

そしてこのお話は脇役もすごく気に入ってます。ファーガスとベッツィーは機会があったらちょっと番外編でも書いてみたいくらい(笑)。

それから(泉野基準としましては)間髪なく発表させていただけることになったのが、こちら。2018年4月下旬発売でした。

ジャジャーン!!

Only with Your Heart 烈炎の騎士と最果ての恋人 2 』、そう、『Only with Your Heart 烈炎の騎士と最果ての恋人』の続編にして完結編です!

「ルクロフを幸せそうに……ルクロフを幸せそうにしてあげてください……!」と呪文のように繰り返しリクエストさせていただいた2巻の表紙。言っておいて後から、よく考えたら幸せそうにニコニコ笑ってるの、なんか彼らしくないかも……? と不安になったのですが、さすが園見亜希先生は神でした! あー、もうっ、眺めてるだけで幸せな気持ちになっちゃう、この表紙。でもルクロフっぽいクールさもあって、すごく素敵でしょう? でしょう? でしょう? でしょう???

ゲヘヘ……。

今作では、ウェブ版の後半にかなり加筆をしました。ウェブ版では名前しか出てこなかった諸悪の根源・王様を登場させ、ルクロフと対面させたりもしています。もちろんルクロフと千鶴の大人シーンも追加されてますよ〜。

ある意味、書き下ろしよりも作業が多かったかもしれない(笑)。

こうしてこの物語を完結まで出版させていただくことができて、本当に嬉しかったです。しつこいですが、これもひとえに応援してくださった皆さまのお陰です。ありがとうございました!

そして、2018年10月。

いいですか。

いいですか。

心の準備はいいですか。

ジャジャーン!!!

イーストプレスはソーニャ文庫さまから上梓させていただきました、『緊縛の檻』です!

こちらで書かせていただけるお話をいただき、プロットなど詰めていたところ、「イラストは出来れば大人っぽい感じがいいですね〜。幸村佳苗先生とか夢です〜」とダメもとで言ってみたところ、本当に夢が叶ってしまったという、ありがたきSHI-A-WA-SE!!

泉野、今でもあれは夢だったんじゃないかと思って、アマゾンを確認したりしてしまう体たらくでございます。はい。

多くは語りません……。本当に素敵で妖艶で色っぽい挿絵をつけていただきましたので、それを鑑賞するためだけでも、ぜひぜひお手に取ってやってくださいませ……!

お話の方は、「緊縛」……「縛る」、「縛られる」ということにテーマをおきまして、濡れ場シーンはもちろん、ヒーロー&ヒロインの心情描写などもたっぷり心を込めて書かせていただきました。特にヒーロー、アレクサンダーはとても気に入っています。自分で言うのもアレですが、ラストもすごく好き。

 

さてー。こんな感じでございました。

特に「緊縛の檻」は妊娠が発覚してから書きはじめて、それからすぐ不正出血があって自宅療養の身となり、寝室のベッドの上でラップトップ抱えながら書いていたという、なかなか忘れがたい思い出になりました。

「産まれるまでに、著者校正だけは済ませなければー!!」

と、気合い(?)で踏ん張ったものです。はい。

実際、著者校正を担当さんへ送ってすぐに出産室に入院することになりましたから。よくタイミングをわかってる赤子です。さすが我が子……!

そんなわけで、重ねまして、今年もお世話になりました。

2019年も心を新たに、頑張って精進したい次第でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

Wishing You a Happy New Year!

 

泉野ジュール

『愛の夜明けを二人で』by クリスティン・アシュリー

「わたしの名前はマラベル・ジョリーン・ハノーヴァーよ」ささやき声で彼に言う。
「え?」彼がささやき返したが、そのひと言も震えていて、笑いをこらえているのだとすぐにわかった。
「それ以上にトレーラー・トラッシュらしい名前はないでしょう?」
彼が唇を震わせ、小さくつぶやいた。「ベイビー」
「そう思うでしょ。認めなさい」わたしは言い張った。
「じつを言えば、ぼくはかわいい名前だと思う」
完全に嘘だ。
「トレーラー・トラッシュの名前だわ」
彼が首を振り、また唇をぴくっとさせた、
唇をぴくっとさせるなんて!
「かわいいよ。優しい名前というのかな。きみの名前だから、そのどっちもだな」

クリスティン・アシュリーのドリームマンシリーズ第二弾、『愛の夜明けを二人で』を読了しました! 原題「Law Man」。前作の『恋の予感に身を焦がして』でも登場した、刑事ミッチがヒロインのお相手です。

クリスティン・アシュリーには珍しい、お行儀のよい完璧王子様系ヒーロー!

もちろん刑事さんですし、キメる時はキメてくれるのですが、ひたすら優しく、自己評価底辺なヒロインちゃんをこれでもか、これでもかぁっと溺愛してくれます。読んでてニヨニヨが止まらないんですよ。

ヒロイン・マーラちゃんはかなり底辺なトレーラーハウス育ちで、どうしようもない不良母親に散々苦労させられたせいで、自分のことをかなり低く評価してる不思議ちゃん。

この世の人間には10段階評価があって、だいたい自分と同じ評価グループの者が恋人同士になると信じています。

マーラは自分で自分を2.5評価だと思っていて。

密かに片思いをしている同じマンションのミッチ・ローソン刑事の評価は、輝かしき10.5。

だから二人の世界は交わらない……!

と、かなり頑固に思い込んでいて、マーラの水道管の故障が原因で距離が近づきはじめても、「そんなはずない! これはなにかの間違い! だってわたしは2.5だし!!」ってなかなか認めようとしません。

そのあいだも、ミッチは持ち前の忍耐と優しさとフェロモンを駆使しながら、ぐいぐいマーラにアプローチしていくんですけど、そのゆっくり展開が新鮮で楽しい!

こういうロマンスって、ヒロインとヒロインが出会ってすぐにメラメラ! 欲望全開! 発射準備オッケー!! みたいな流れになる方が多いと思うのですが、今作はすごくじっくり時間をかけてロマンスが展開していく感じが、とても良かったです。

もちろん出会ってすぐに発射オッケー系も大好きですけどね!

初デートに繰り出すまでが長いのなんのって(笑)。

実際にお手にとっていただければわかると思いますが、『愛の夜明けを二人で』、相当なレンガ本です。レンガの厚さ。800ページを軽く超えています。なのに、半分を超えてやっと初デートに乗り出す二人……。

待てーー!!

300ページ以内に起承転結と最低三回のエッチシーンを入れなくちゃいけないんじゃなかったのかーーー!(号泣)

いや、こういう構成でも、ロマンスとして十分に読者を楽しませることができるんですね。なかなかくっつかないからこそ、続きが気になって気になって(笑)、ぐんぐん読んでしまいます。

一応「悪役」に分類されるであろうトレーラー・トラッシュ・ツインズもコミカルで楽しかったし、子供たち二人の存在も作品に温かみを加えてくれています。

ミッチは王子様でもあり、かっこいい刑事でもあり、イクメンでもあり、なんかもうありえないくらい素敵なヒーローなんですけど、KAが書くとやっぱりそこはかとワルの香りもして、人間っぽく(というか、コロラドっぽく?)……つまり、最高であると!

翻訳は前作と同じ高里ひろさんですので、シリーズ中もブレなく楽しむことができます♪ 前作のヒロイン・グエンちゃんが出てきてマーラに「すごい美人……」って思われてるのに思わずムフフ。(基本的にKA作品はヒロインが一人称でガンガン話を進めていくので、ヒロインの容姿がイマイチわからないことが多い)

*アマゾン商品紹介リンク*

*原語版*

インディー感溢れるこの表紙もなんかいい。

おすすめです!!

恋の予感に身を焦がして by クリスティン・アシュリー

「キスはしないで。わたしはキスが大好きで、もしあなたがキスが上手だったら、わたしはぜったいに頭が混乱しちゃうと思う。冗談じゃなく。それにほんとうに、いまは困るの」
彼の頭がさがってくる。わたしは身構えたけど、彼は一センチのところでとまった。
「わかったよ、ハニー」彼は言った。「キスはしない。だが参考までに言っとくけど、いままで文句を言われたことはないよ」

ついに読んでしまいました。クリティン・アシュリーの初邦訳作品、原題『Mystery Man』こと『恋の予感に身を焦がして』。読者を強制的に問答無用で振りまわす、ハチャメチャKAワールドが日本語になって本邦初公開ですよ!

こちら、クリスティン・アシュリー(以下KA)初期の作品で、三部からなるシリーズの第一部になります。第二部もすでに邦訳出版されていて、本書と同じ高里ひろさんの訳出でお楽しみいただけます。シリーズもの、途中で訳者さんが変わらないの嬉しいですよね!

ヒロインのグエンドリン・キッドことグエンちゃんは、なんと一年半前から、夜な夜な音もなく寝室に訪ねてくる「ミステリー・マン」と体だけの関係を続けています。

うっとりするような素晴らしいセックス だけして、挨拶もせず、闇に紛れて帰ってしまう「ミステリー・マン」。実際に姿を見たことがあるのは一度だけ。

でも、グエンちゃんの超問題児な妹がなにかヤバイことをしでかし、グエンちゃんまで命を狙われる羽目になったとき、この「ミステリー・マン」がやっと陽の光のもとで姿を現し、颯爽とグエンを助けてくれるのですが……。

という、「本当か!!」と叫びたくなるような筋書き。

そうです。

これが、魅惑のKAワールド!!

なんというか、陰謀とか闇の取引とか、そういう細かいところは平気ですっ飛ばすし(たいていヒーローが「君はそんなこと知らなくていいんだ、ベイブ」とか言って読者ともども一緒にスルーしてくる)、すっごい唐突に場面が切り替わるし、「これはパラノーマルでいいんじゃないかな」っていうレベルにヒーローが超人なのですが、読んでいるうちにそのへんはあまり気にならなくなってきます。

KAはもともと自費出版かインディーで発表していた作家さんで(最近のアメリカのロマンス作家はみんなそうなのですが)、特に初期の作品は、「これ……出版社通してたら日の目を見なかったのでは……」という感じのスゴさがあるのですが、そこが味だと思っております。好きなものを好きなように書いている、ある種の萌えパワーでしょうか。

本作とそのシリーズは未読で、今回日本語版KAに初挑戦だったのですが、読んだことのある作品の主役級たちが脇役としてわさわさ出てくるのにもニマニマしちゃう。

特に、リー! この男はKAのお気に入りなのかな。どの作品にも必ずカメオしてくる驚異の出現率。彼がヒーローの作品はこちらです。

とにかく過去作品のヒーローがよく出てくるのですが、どの男も一度はロマンス小説で主役を張ったくらいですから、めちゃくちゃハンサムでセクシーでいい体でアルファなわけです。そういう男が、横からワキから正面から後ろから、めっさ出てくるんですよ。めっさ出てくるんですよ。

大事なことなんで繰り返します。めっさめっさに出てきます。

それでもまだ今作品は初期のものなので可愛いもの。最近の作品なんかは平気で10人越えの元主役級カメオがあるので、濃いぃのなんのって。四文字熟語で表すなら「酒池肉林」。なんなんでしょうね、宣伝なのかしらこれ。嬉しいからいいんですけど。

さてー。この『恋の予感に身を焦がして』。

KA節全開な、元気でちょっと天然なアメリカ娘ヒロインの独白でどんどん話が進んでいくので、レンガみたいな厚さの文庫本にも関わらず一気に読んでしまいます。ヒーローもこの作者さんらしい、アルファビーム絶賛発散中の、「実際にいたら逃げるかぶん殴るかの二択だけど、本の世界だと素晴らしい」コロラド男です。

ほんと、コロラド山脈周辺に生息する野生のアルファ(人間・オス)を書かせたらKAの右に出るものはいませんね!

前半のふたりがくっつくまでも面白かったし、後半の大どんでん返しと、ヒーロー・ホークの意外な過去から続くちょっと切ないお話も引き込まれました。

5 Star Read! ★★★★★

 

 

『緊縛の檻』電子書籍配信予定

こんにちは。お久しぶりの泉野ジュールです。猛暑だった夏も終わり、涼しくなってきたと思ったら、なんだか急に「涼しい」を通り越して「寒い」になってきた今日この頃。

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

泉野家は、7月末に生まれた赤ちゃんがやっと月齢3ヶ月になり、新生児期のドタバタから少しずつ解放されつつあるような……。いや、まだ、赤ちゃんだし、色々大変なのですが、それでも夜の授乳間隔もいくらか開いてきて、ちょっとだけ人間らしい暮らしが営めるようになってきました。

まだまだ今まで通りとはいきませんが、少しずつ書きはじめてもおりまして、先日から『ジゴロな魔王を拾いましたが!』というふざけた短編小説をムーンライトノベルズさんにて投稿中です。

この『ジゴロな魔王を拾いましたが!』、略して「ジゴロ」でいいかなと思うんですが、どんなお話かというと、まぁ、タイトル通りな感じです。真面目なメガネヒロインちゃんが降って湧いてきた魔王を拾っちゃってジゴロにするような……ゴニョゴニョ。

なんか、すみません。

基本的にシリアスな作品の多い泉野ですが、根はかなり明るく、ひじょうに適当なヤツです。

「ジゴロ」誕生秘話。もっとシリアスな悪魔ヒーローもののプロットを練ろうとしていたら、急に湧いてきちゃった亜種なお話です。ついつい数枚書いてみたら面白くて、でも担当さんに送る勇気はなく、とりあえず供養としてムーンライトノベルズさんで晒しておこう、と思い立ったというシロモノ。

でも、それなりに面白いんじゃないかと思います(作者が)。ので、よかったら冷やかし程度に、お時間のある隙にでも、お目を通していただけると嬉しいです。

さて、ここからが本題なのですが!

今月初めに発売となった『緊縛の檻』。電子書籍の予約が各電子書店で開始されたようなので、お知らせさせてくださいませ。11月1日に配信予定のようです。あともうちょっと……!

Kindle

Honto

楽天ブックス

とりあえず、今ご予約いただける主なサイトのリンクです。発売日になれば、Renta!さんやパピレスさんなど、他の電子書店でもご購入いただけるようになると思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

泉野ジュール

 

 

ソーニャ文庫『緊縛の檻』発売です!

こんにちは、皆さまいかがお過ごしでしょうか。泉野ジュールです。

こちらはまだ10月2日なのですが、日本時間ではすでに10月3日になっているはずで、つまり、新刊『緊縛の檻』発売日になります! わー! どんどんどんどんパフ〜!!(自分で盛り上げていくスタイル)

順次、全国の書店に配本されていくと思いますので、お見かけの際はぜひ、お手にとって見てくださいませ。そして幸村佳苗先生の美麗表紙にムフムフするのもよし、編集部さんが考えてくださったキャッチコピーを見てウハウハするのもよし、ついでにお買い上げいただけましたらもっとよし! でございます。

通販派の方、そして店頭でのご予約が必要な方はこちら書籍情報ページにあるリンクをご利用いただくと便利かと存じます。ソーニャ文庫さんの公式ホームページでは特典SSなども公開されるそうですので、よかったらどうぞ! こちらはヒーローの秘書(メガネ男子ですよ!)視点の後日譚など書かせていただきました。

こちらの作品。

基本的にシリアスですし、題名どおりに「縛り」のある物語なのですが、決して暗いお話ではないと思います。

過去のトラウマから、女を縛らないと抱けないヒーロー。でも、元々とても真面目な男性です。恋愛や結婚は諦めていて、年に数回、高級娼館でプロの女性を相手に欲望を解放するだけで満足していました。今回ももちろんそのつもりが、そこで、オークションに掛けられているヒロインを見初めてしまい……。

という出だしで

妖しい高級娼館内の密室劇や

ヒーローの葛藤など

じっくりお楽しみいただけたらと思います。

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Happy Reading!!

 

泉野ジュール

 

『緊縛の檻』表紙公開

こんにちは! 今日も睡眠時間トータル3時間弱、赤さん@6週目の泉野ジュールでございます。みなさま、ご無事にお過ごしでしょうか。

今年はもうほんとうに大きな震災が重なって、昨日大阪だと思ったら今日は北海道と、遠くから見ているだけの自分にはとても歯がゆく、被災地の方々のご無事を祈るばかりです。

それでも、自分にできるのは自分の仕事を精一杯こなすことだけ!

と、今日も仕事に育児に家事に執筆に……なんとか邁進したいと思います。ほんとうに、被災地の方々の苦労に比べたら自分の大変さなど屁でもないと、重々承知しております。

さてー。

そんなわけで!

ソーニャ文庫さまから来月頭に出版される『緊縛の檻』、表紙画像が公開されましたのでこちらにもドドーンと載せさせていただきます!

 

Are you ready?

 

Are you sure?

 

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ジャーン!!

もう……もう……多くは語らない……。

ただ、見てくれ……!

すでにアマゾンなどにも画像が公開されていて、あらすじも読めるようになっております。

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母親のために高級娼館に身を売ったマリオン。
彼女を買ったのは、美貌の若手実業家アレクサンダーだった。
決してマリオンを抱かないと告げる彼との微妙な関係は、
緊縛ショーに招かれたことで大きく変わっていく。
アレクサンダーは過去の悲劇が心の傷となり、
女を縛らないと抱けなくなっていたのだ。
マリオンに激しく欲情しながらも、
愛する人を縛る罪悪感に苛まれるアレクサンダー。
マリオンは縛めの快楽に溺れながらも、深い愛で彼を包もうとするが……。

愛を恐れる大富豪×愛で包みたい没落令嬢、二人を結ぶ禁断の情火。

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ご予約、詳細などはこちらから。

 

泉野ジュール

 

出産の記録③

前回の続きです。

深夜にいきなり子供ふたりも預けられるひとを見つけるなんて、大変だ!

……と、ご心配くださったそこのあなた、ありがとうございます。結論からいうと、まったく大丈夫でした。いやね、この点については、ひじょうに、ひじょうに、恵まれていたと、各方面に感謝の気持ちでいっぱいです。

実はですね、泉野家は義理両親宅のほぼ目の前に位置しまして、窓から叫べば返事がくるレベルなんですよ。いちおう道路は挟んでいるものの、田舎なんで、深夜に通る車両があるわけでもなく。

なので、「ヘルプ!! 生まれそうだ!」と旦那が庭先から声をあげると、さっそく登場してくれる義理父家住み込みのお手伝いさん、スリランカ人のS女史。

自身もふたりの子の母であり、すでに故郷には3人の孫までいる彼女は、余裕の落ち着きで「大丈夫、ダイジョーブ、出ちゃう前に行ってきなさいな〜」と、子供の明日の予定などを説明しようとする泉野夫妻を追いやって、ベビーシッターしてくれることに。

(ちなみに肝心の義理父は補聴器を外して寝ていたので、ぜんぜん聞こえなかったんだそうな)

旦那の運転で病院へゴーとなりました。

病院へたどり着くと、前回の入院で見知った看護婦さんに「あら、あなた、まだ産んでなかったの?」と開口一番驚かれ、すぐエコーへ。

胎児心拍オッケー。

陣痛バッチリビンビンオッケー。

どのくらい産道開いてるか見てみましょー。あら、これもバッチリ、パックリねー。

さあ、デリバリールーム(分娩室)へレッツゴーよ〜。

……と、あれよ、あれよという間に流されていく泉野ジュールとその旦那。

この間、泉野はずっと、

「エピドュラルを……エピドュラルを……早く……プリーズ……」

と、呪文のように唱え続けていたのですが、周囲からは「そうね〜、とりあえず様子を見てみましょうね〜」みたいな微妙な答えばかりが返ってきていたのですね。

今思えば、彼らは……知っていた。

「こいつ、多分、間に合わねーな」と。

そう!!

間に合わなかったのです……。またしても……!

分娩台に横たわり、助産婦さんに診てもらうこと数分。なんとなく不吉な予感はしていたものの、いまだに「エピドュラル、エピドュラルー」と未練ったらしく泣いている泉野に、その助産婦さんは言いました。

「どうしても、どうしても打ちたいなら、わたし達に拒否することはできないんだけど、打っても絶対、効かないわよ」

と、非情、無情な宣告が。しかも絶対とか言ってくるし。ふたり目の時は少なくとも「多分」みたいな表現だった。

それが。

ああ……。

……。

……。

いやね、それでもふたり目の時はどんな痛みが待っているか知らなかったから、オッケー出しちゃったけど、今回はもう無知ではない。あの痛みを知っている。とてもじゃないけど、もう一度あれをやるなんて……グァァ、陣痛!

 

 

結論。

自然分娩しました。もうどうしようもなかったし、救いは、小さめの赤さんだったことでしょうか。記録的なスピード出産にて次女誕生。ピャー、ピャー、みたいな、可愛い産声を聞いた瞬間、もうすべてどうでもよくなったのでした。

 

《おわり》

泉野ジュール